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よもぎ蒸しの蒸気には何が含まれる?

  • 8月19日
  • 読了時間: 9分

yomoginaのGC-MS分析で見えた62の成分候補




こんにちは。

にほんのよもぎ蒸しブランド「yomogina」代表の谷真由美です。


「よもぎには、身体にうれしい成分が含まれている」

「昔から使われている植物だから、よもぎ蒸しにもよさそう」


よもぎ蒸しについて、このような説明を目にすることは少なくありません。


しかし、ここで一度考えてみてほしいことがあります。


よもぎ蒸しでは、よもぎをそのまま食べるわけでも、お茶として飲むわけでもありません。


よもぎを水と一緒に加熱し、立ち上る温かい蒸気を浴びます。


ということは、大切なのは、


「よもぎという植物に何が含まれているか」だけではなく、

「加熱したとき、その蒸気に何が含まれているのか」


ではないでしょうか。



そこでyomoginaでは、よもぎそのものの栄養成分ではなく、

『よもぎ蒸しで発生する蒸気の成分』を調べることにしました。




よもぎではなく、「よもぎ蒸しの蒸気」を分析しました


今回用いたのは、GC-MSと呼ばれる分析方法です。


GC-MSは、さまざまな成分が混ざったサンプルを一つずつ分離し、質量スペクトルから、どのような化合物が含まれているかを調べる方法です。香りなどの揮発性成分を分析する際にも広く利用されています。


yomoginaの蒸気サンプルは、2024年9月10日にGC-MS分析を行いました。分析結果には1番から62番までのピークが記録され、ライブラリ照合によって、それぞれの成分候補が示されています。


つまり今回の検査から、よもぎを加熱した蒸気には、単一の成分だけではなく、非常に多くの揮発成分が複雑に含まれている可能性が見えてきました。





相対ピーク面積が大きかった主な成分


分析表の中で、相対ピーク面積が大きかった主な成分候補は次のとおりです。


成分候補

相対ピーク面積

β-カリオフィレン〈β-カリオフィレン〉

14.67%

1,8-シネオール〈ユーカリプトール〉

 7.66%

β-ファルネセン

 6.15%

アルテミシアケトン

5.72%

カリオフィレンオキシド

※ 5.44%

カリオフィレンオキシド

4.94%

アルテミシアアルコール

 4.22%

p-シメン

 4.19%

カンファー〈(+)-2-ボルナノン〉

 3.86%

endo-ボルネオール

 2.62%

※カリオフィレンオキシドと推定されたピークは、異なる保持時間でも複数確認されています。表には、その中で最も大きかったピークを掲載しています。


このほかにも、α-ピネン、D-リモネン、1-オクテン-3-オール、ゲルマクレンD、メチルサリチレート、スパツレノールなど、さまざまな成分候補が示されました。


「面積%」は、含有濃度ではありません。


標準物質を用いて検量線を作成した定量分析ではないため、「蒸気中にβ-カリオフィレンが14.67%の濃度で含まれている」という意味ではありません。


今回言えるのは、


「今回の測定条件では、β-カリオフィレンと推定されたピークが最も大きかった」


ということです。GC-MSで実際の濃度を求めるには、対象成分ごとに標準物質と検量線を用いた定量分析が必要です。




最も大きなピークを示した「β-カリオフィレン」


今回の分析で最も大きなピークを示したのが、β-カリオフィレンです。


植物由来のセスキテルペンで、植物の精油や香りを構成する成分の一つです。


β-カリオフィレンが世界的に注目されるきっかけとなったのが、2008年に米国科学アカデミー紀要「PNAS」に掲載された研究です。


この研究では、β-カリオフィレンがカンナビノイド受容体の一つである「CB2」に選択的に作用する、非精神作用性の植物成分であることが、細胞および動物実験によって報告されました。


「カンナビノイド」と聞くと、大麻に含まれるTHCのような作用を想像されるかもしれません。


しかしβ-カリオフィレンは、THCの精神作用に関わるCB1とは異なるCB2を主な研究対象としており、THCのような酔いや多幸感を起こす成分という意味ではありません。


ただし、この研究はβ-カリオフィレンという単独成分を用いた細胞・動物研究です。


yomoginaのよもぎ蒸しで同じ作用が得られることを証明した研究ではありません。


yomoginaが今回確認したのは、あくまで、


「よもぎ蒸しの蒸気サンプルから、β-カリオフィレンと推定されるピークが検出された」


という事実です。




すっきりとした香りに関わる「1,8-シネオール」


2番目に大きなピークを示したのが、1,8-シネオールです。


分析表では「Eucalyptol」と記載されており、ユーカリプトールとも呼ばれます。


ユーカリなどにも含まれ、すっきりとした清涼感のある香りに関わることで知られている成分です。


1,8-シネオールについては、炎症反応や呼吸器に関する研究も行われています。


たとえば、重症喘息患者32名を対象とした二重盲検プラセボ対照試験では、1,8-シネオールを経口カプセルとして一定量投与し、その抗炎症作用について検討されています。


ここで重要なのは、この研究が、


・成分を精製したカプセルを使用していること

・経口投与であること

・医療管理下で行われた研究であること


です。


よもぎ蒸しの蒸気を浴びた研究ではないため、この臨床研究の結果をそのままよもぎ蒸しの効果として説明することはできません。


yomoginaでは、「1,8-シネオールが検出されたこと」と「1,8-シネオール単体について行われている研究」を分けてお伝えします。




フムレンやβ-ファルネセンなどのセスキテルペン類


今回の分析では、β-カリオフィレンだけでなく、


・β-ファルネセン

・フムレン

・カリオフィレンオキシド

・ゲルマクレンD

・カジネン

・スパツレノール


など、複数のセスキテルペン系成分候補が示されました。


α-フムレンとtrans-カリオフィレンについては、単独成分を経口投与した動物実験で、炎症反応に関連する物質への影響が研究されています。


こちらも、よもぎ蒸しを対象とした研究ではありません。


しかし、今回の分析でβ-カリオフィレンが最大のピークを示し、カリオフィレンオキシドやフムレンなども検出されたことから、カリオフィレン系を含むセスキテルペン類が、この蒸気サンプルの特徴の一つだったと考えることができます。




よもぎらしい香りは、一つの成分だけでできているわけではありません


よもぎらしい香りは、一つの成分だけでできているわけではありません


よもぎの香りというと、一言で「草の香り」「薬草の香り」と表現されることがあります。


しかし、分析結果を見てみると、その香りは一つの成分だけでつくられているわけではありません。


アルテミシアケトン、アルテミシアアルコール、p-シメン、カンファー、ボルネオール、α-ピネン、D-リモネンなど、多数の揮発成分が重なり合っています。


すっきりと感じる香り。


少しスパイシーに感じる香り。


草木や森を思わせる香り。


その複雑な重なりが、よもぎ蒸しの中で感じる独特の香りにつながっていると考えられます。



一つの有名成分だけを見るのではなく、蒸気全体の構成を見る。


それも、yomoginaが蒸気分析を行った理由の一つです。




「植物に含まれている成分」と「蒸気に含まれる成分」は別です


よもぎには、食物繊維、ビタミン、ミネラルなど、食べたり飲んだりすることで摂取できる成分があります。


しかし、植物に含まれている成分のすべてが、加熱した蒸気に移るわけではありません。


よもぎを食べたときの栄養についての説明を、そのままよもぎ蒸しの説明に置き換えることはできないのです。


同じように、


「この植物には、身体にうれしい成分がある」


ということと、


「その成分が、よもぎ蒸しの蒸気に含まれている」


ということも別の話です。


だからこそyomoginaは、植物のイメージや、食べたり飲んだりしたときに期待される働きだけで、よもぎ蒸し用の植物を説明しないようにしています。


実際に蒸気へ移っている成分を調べること。


これが、よもぎ蒸しに使用する植物を考えるうえで欠かせない視点だと考えています。




「成分が検出された」ことは、「効果が証明された」ことではありません


今回の検査で分かったのは、測定した蒸気サンプルに、どのような揮発成分候補が含まれていたかということです。


一方、この検査では次のことは測定していません。


・各成分が身体にどの程度取り込まれるか

・どの経路から、どのくらい吸収されるか

・身体の中でどのような変化が起こるか

・病気や症状が改善するか


したがって、


「成分が検出されたから、その成分の研究と同じ効果が得られる」


とは言えません。


また、植物の成分は、産地、採取時期、乾燥方法、保管状態、使用量、加熱条件、サンプルの採取方法などによって変わる可能性があります。


今回の結果は、今回使用したサンプルと分析条件における結果です。


その限界まで正直にお伝えすることが、本当に信頼されるよもぎ蒸しメーカーとして大切だと、yomoginaは考えています。




成分を知って、蒸気を選ぶ


yomoginaのよもぎパックには、岐阜県伊吹山麓の標高800メートル以上の場所に自生するよもぎを自然乾燥した原料を使用しています。



しかし、yomoginaが大切にしているのは、産地や原料の品質だけではありません。


そのよもぎを実際に加熱したとき、


蒸気の中に、どのような成分が含まれているのか。


そこまで確かめて、初めてよもぎ蒸し用の植物として説明できると考えています。


昔から使われてきた植物の知恵。


よもぎ蒸しを続けてきた現場での経験。


そして、現代の分析技術によって分かること。


yomoginaは、そのどれか一つだけに偏るのではなく、すべてを大切にしながら、安心して選んでいただけるよもぎ蒸しを追求していきます。


植物のイメージだけで選ばない。


食べたときの成分だけで説明しない。


成分を知って、蒸気を選ぶ。


それが、yomoginaのよもぎ蒸しです。




まとめ


yomoginaがよもぎ蒸しの蒸気サンプルをGC-MSで分析した結果、62のピークが確認されました。


その中で最も大きなピークを示したのは、β-カリオフィレンと呼ばれる成分でした。


そのほかにも、1,8-シネオール、β-ファルネセン、アルテミシアケトン、フムレン、p-シメン、カンファー、ボルネオールなど、さまざまな成分候補が示されています。


ただし、成分が検出されたことは、よもぎ蒸しによる治療効果や身体への吸収を証明するものではありません。


今回の分析によって分かったのは、

よもぎ蒸しの蒸気は、ただのお湯の蒸気ではなく、よもぎ由来と考えられる多様な揮発成分を含む、複雑な香りの蒸気だった

ということです。


yomoginaでは、これからも植物の名前やイメージだけに頼らず、蒸気の中身を確認しながら、よもぎ蒸しの新しい価値をお伝えしていきます。




【注記】


※本記事で紹介している研究は、それぞれの成分単体を用いた研究です。yomoginaよもぎ蒸しそのものの疾病予防、治療、症状改善効果を示すものではありません。


※分析結果は、測定したサンプルおよび分析条件下で得られた結果です。原料や採取時期、加熱条件などによって成分構成が変わる場合があります。


※相対ピーク面積は、各成分の実際の濃度や身体への吸収量を示す数値ではありません。

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